レギュレーターの選び方
レギュレーターは水中で呼吸するために必要不可欠な器材。シリンダー(タンク)の中に入っている高圧のガス(空気※)を、まわりの水圧に合わせて呼吸できる圧力にまで自動的に調整する仕組みを持っています。最近のレギュレーターは、水中でも陸上と変わらず自然に呼吸できるほどの優れもの。軽量&コンパクトなものも多くなってきています。
※ダイビングでは、一般的には普通に呼吸している空気が使用されますが、エンリッチド・エアなど、酸素と窒素の比率が空気とは異なるものを使用する場合もあるため、ここでは「ガス」と総称します。
レギュレーターの各部説明
シリンダーとレギュレーターをつなぐ部分。ここで最初にシリンダー内のガスの圧力が下げられ(減圧され)、中圧ホースを通してセカンドステージへと送り込まれます。深度や残圧に関係なくエアを安定供給する「バランスピストンタイプ」や、タンクの残圧変化による呼吸感への影響が少ない「バランスダイアフラム」などのタイプがあります。
口でくわえるところ。ここで再度、ガスの圧力が下げられ、呼吸しやすい圧力となって出てきます。息を吸えばガスが出てきて、息を吐くときや呼吸していないときはガスが出てこない仕組みになっています。
セカンドステージには口でくわえやすいようにゴムやシリコンでできたマウスピースがついています。マウスピースが切れていると、そこから水が浸入してしまうので注意。また、口の大きさに合わないマウスピースは水中でのストレスの原因となります。
レギュレーターを選ぶ際のポイント
自分にとって呼吸しやすいことが大切
レギュレーターを選ぶ際は、自分にとって呼吸しやすいかを重視しましょう。「呼吸抵抗が軽い=自分にとって吸いやすい」とは限りません。吸い心地の良さは個人によって差があります。できれば実際に呼吸を試してみて、自分がいちばん呼吸しやすいと思ったものを選ぶことがおすすめです。ガスの流量を自分で調節できるタイプもあります。
使用している素材にも注目
レギュレーターに使われている素材によって、耐久性や重量、デザインに違いがあります。各メーカーそれぞれにこだわりがあるので、いろいろ見比べて、自分の好みに合うものを選ぶのがおすすめ。最近では、海水に対し完全耐食で耐久性に優れ、且つ軽量なチタンを使ったレギュレーターが人気です。
マウスピースはくわえやすいものを
マウスピースが自分の口の大きさに合っているかも大きなポイント。口の大きさに合わないマウスピースは口から外れやすく、しっかりとくわえていなければいけないため余計な力が必要です。口の小さな人は、小さいサイズのマウスピースを使うといいでしょう。歯型の形状記憶でより快適にくわえられるマウスピースなども販売されています。
マウスピースとレギュレーターの組み合わせによっては、セカンドステージのマウスピース取り付け部のサイズが合わず、呼吸時に水が入ってくる場合もあるので注意しましょう。
シリンダーのバルブの方式の違いに注意
レギュレーターには、シリンダーのバルブの接続部がOリングのもの(Kバルブ)につける「ヨークタイプ」と、タンクのバルブにねじ込んでつける「DINタイプ」があります。日本で使われているシリンダーのほとんどはKバルブなので、ヨークタイプのレギュレーターを使うのが一般的。海外ではDINバルブのシリンダーが主流のところもありますが、ヨークタイプのレギュレーターでもアダプターを使って接続することが可能です。
以下にタイプ別のおすすめレギュレーターを挙げていますので、ぜひ参考にしてみてください。
タイプ別おすすめレギュレーター
耐久性や軽さにこだわる人は・・・
口元への負担を少しでも減らしたい人は・・・
呼吸のしやすさにこだわる人は・・・
自分でガスの吸い心地を調整したい人は・・・
カラフルなデザインを求める人は・・・
幅広い水温で潜りたい人は・・・
レギュレーターを使う際のポイント
口の大きさにきちんと合ったマウスピースを使っていれば、そう簡単に口からレギュレーターが外れてしまうことはありません。軽く噛む(甘噛み)程度で、それよりもしっかりと唇でマウスピースを覆う(ホールドする)ことを心がけましょう。まずはマウスピースを見直してみること。口への負担の少ないスイベルがついたタイプのレギュレーターを使ってみるのも手です。
Cカード取得講習でも習いますが、まずはレギュレータークリアを忘れずに。「レギュレーターをくわえたときは、まず息を吐く」をクセにしておくことがおすすめです。
フリーフローすると即使えなくなるというわけではありません。たとえば水面でマウスピースを上に向けた状態で水につけるとフリーフローしますが、その場合はマウスピースを下向きにして手で押さえれば収まることがほとんどです。呼吸抵抗の軽いレギュレーターで起こりやすいので、流量調節機能がついている場合は、少し流量を絞っておくといいでしょう。また、塩や砂を噛んでフリーフローしている場合は、セカンドステージを手で軽く叩いたりすることで直ることもあります。
ただし、パーツの劣化などによる故障が原因のフリーフローもあります。ダイビング中に深度下で突然フリーフローが起きたら、マウスピースを半分だけくわえて、そこから必要なガスを吸い、余分なガスは外に逃がします。速やかに浮上して、ダイビングは中止しましょう。
それを避けるためには、レギュレーターを水につけるときにはダストキャップがきちんとついていることを確認すること。また、ダストキャップがついていても、長時間水につけていると浸水する可能性もあるので注意しましょう。
なお、ダストキャップをつける際に、シリンダーから高圧の空気を出して水を飛ばすやり方がありますが、誤ってファーストステージのほうに吹き付けてしまったり、空気を出す音が周りの迷惑になることもあるため、できれば避けたいところ。海外ではマナー違反となる場合もあります。タオルなどで優しく拭くことがおすすめです。
少し余裕があれば、息を吸ってレギュレーターを外し、吐いたらまたレギュレーターをくわえればOK。海水でうがいをすれば、口の中の気持ち悪さを取ることもできます。
余裕がなければ、レギュレーターをくわえたまま吐いてしまっても大丈夫です。手でしっかりとレギュレーターを押さえたまま吐き、吐き終わったらパージボタンを押して、ガスと一緒に嘔吐物をレギュレーターの内部から排出しましょう。レギュレーターは水中でよく洗っておくことがおすすめです。
レギュレーターのお手入れポイント
ダイビング後は真水でよく洗浄するのが基本。水洗いをする際にはダストキャップをしっかりと閉めて、ファーストステージ内に水が入らないように注意しましょう。水の中で可動部を動かし、隙間に入っている塩などを落としますが、パージボタンは押さないこと。ホース内に水が入ってしまう原因となります。セカンドステージの内部はマウスピースのところから流水を入れて洗うことがおすすめです。
洗い終わったら、風通しのよい日陰でしっかりと乾燥させます。きちんと乾燥できていないとカビや錆の原因となるので注意。保管する際はホースに無理な力がかからないように自然に丸めるか、ファーストステージからぶら下げておきましょう。また、1年に1度、または100ダイブに一度のオーバーホールもお忘れなく。